ウェブサイト制作の見積もりをつくる際に考える3つのパターン 2013年度版

Shunsuke Sawada

ウェブサイトのお見積もりをしてくださいと頻繁にお声を掛けていただくのですが、
正直、毎回悩みます。(お問い合わせはありがたいことなのですが。)
受注する前にもちろん見積書をつくるわけですが、
その時に考えてることや、予算に合わせた制作方法なんかを紹介しようかと思います。

ウェブサイト制作

依頼主のバックグラウンド

1. だいたいウェブ制作の行程を分かってる人から

他のウェブディレクターとか、知り合いのデザイナーとかからの依頼はもちろん話が早い。
何でサイトが必要なのか、サイトで何を目標とするのか共有できたら、結構はじめから制作の細かな話になることが多い。

2. 広告業界なのでウェブも発注したことあるけどウェブの行程はあまり知らない人から

広告代理店や紙媒体中心の方からの依頼があった場合は、印刷媒体とウェブ制作の行程の違いとか、より責任範囲を明確にする必要があるとか、契約事項について確認をしっかりする。
もともと紙媒体中心の仕事を長いことやってきたバックグランドがあるので、先方の事情もいろいろ分かるのが自分の強みでもある。

3. 社内の営業から

これは意外と困る。もちろん営業によるけど。
というのも、やり取りしているのが自分じゃないから。
「とりあえずウェブサイトの見積もりだしといて〜」っておい!説明しろよって。
彼らは言う。あたかもウェブサイトという1つの不変な商品があるかのように。
なので、聞き出せるだけ聞き出して、取引会社の規模感も考えながら一生懸命想像を膨らまして見積もる。もちろんヒヤリングに行くのがベストだけど、そうできない場合も多々。

4. デザイン発注とかしたことないけど、ウェブサイトが欲しいというお問い合わせ

最近お店をオープンしまして、ウェブサイトとかフライヤーとか欲しいんですけど、できますか?というようなお問い合わせ。大変だけど楽しい案件が多いです。
お店の内容やコンセプトやターゲットなんかを共有。ウェブサイト制作とロゴ制作は別料金ですよとか、フライヤーの印刷部数はこれくらいがおすすめですよとか、いろいろ。

とまぁ、いろいろ。もちろん4種類なわけじゃないし、こんなに明確に分かれている訳じゃないので、その度にう〜んと考えながらお見積もりをつくっているのです。「だいたいこんなもんですよー」って気軽に言えないのです。ふとした時に「どのくらいかかるのよ実際?」て聞かれることも多いんだけど、即答不可能です。

制作の3つのパターン

勝手に3つに分けました。もちろん全てなわけわないけど、
実際に仕事を進める上で多いパターンなので、参考にしてみてください。

A : 静的HTML

静的HTML

ウェブサイト制作では最もシンプルなものです。
ウェブサイトというのは表側がHTMLとCSSでつくられており、裏側はApacheというサーバが動いています。(なんども言いますがそれだけじゃないよ。)
ほとんどの場合、ドメインを取得してサーバーをかりるのですが、この時に裏側の設定はほぼ終わります。裏側なので普段は見えませんがここにもコストがかかることに注意。
表側は見えるので分かりやすいですね。静的HTMLというのはものすごく省略して言うと「変更があったらその度にご依頼ください。有料で承ります。」ということかな。
動的htmlとは何ですか?静的なものと何がちがうのか教えてください! - Yahoo!知恵袋
なお、静的HTMLはページ数が多いサイトには向きません。

表側コスト
1ページいくらといった計算が普通です
裏側コスト
ドメインとサーバーの簡単な設定のみなので、時間はかかりません。
編集 ×
修正内容をその都度連絡する必要があります。修正箇所が少なくてもほとんどの場合有料となります。
ブログ ×
サイト内でブログを書くことは基本的にはできません。
モバイル最適化
可能ですが、それなりに料金がかかります。あえて最適化しないという選択肢もあります。
デザイン ?
デザイナーによります。

B : CMSを使って作成

CMS

CMSとはContent Management Systemの略。
コンテンツマネージメントシステム - Wikipedia

ものすごく省略して言うと「ブログがサイト内で書けます。全部ではありませんが、サイトの内容もお好きな時に変更可能です。追加料金はありません。」かな。
もちろん全部が全部変更できるようになってはいないので確認が必要。一概には言えませんが、自由に変更したい箇所が増えるにつれ、料金も上がると思います。
一回つくってしまえば、自分自身で1000ページだってページを作成できます。保守契約を結んでいない場合は、何かしらの問題が発生したり、保険のためのバックアップを取ってもらうために、別途依頼する必要があります。
CMSにはいろいろありますが、特別な事情がある場合を除き、最近はWordpress一択ではないでしょうか。

表側コスト
テンプレートをオリジナルで作成する手間が増えるので、ページ数が少ないと割高感がある。
裏側コスト
ドメインとサーバーに加え、データベースが必要です。
編集
いつでも編集可能(編集箇所によっては不可)
ブログ
自由に投稿可能。iPhoneアプリ等を使えば、モバイルからでも投稿できる。
モバイル最適化
可能ですが、それなりに料金がかかります。あえて最適化しないという選択肢もあります。
デザイン ?
デザイナーによります。

C : ウェブサイトをつくるウェブサイトを利用する

SquareSpace

最近はウェブサイトをつくるウェブサイトというのが凄いです。
ものすごく省略して言うと「テンプレートが沢山あるので、その中から好きなのを選んで使ってくださいね。月額利用料として●●ドル払ってください。」というもの。

例えば有名どころは下の3つかな。

Build a Website — Squarespace

Strikingly - Simple, Beautiful Mobile Sites In Minutes

Free Website Builder | Create a Free Website | WIX

ポイントは月額利用料はそのウェブサイトの運営会社に直接払うのであって、依頼先のウェブデザイナーに払うのではないということ。じゃあウェブデザイナーは何するの?
そうです。べつにウェブデザイナーに依頼しなくても良いんです。
やろうと思えば経験ない人が自分でいろいろ試行錯誤してやることだって全然可能。アカウントつくってログインして、テンプレート選択して、完成したらクレジットカード決済。はい完了。問題ない。編集だっていつでもできる。
でも個人的にはそれでもデザイナーは必要かなと思います。
全体のカラーリング、写真の選択やトリミング、文字の置き方なんてのは経験がないとなかなか厳しいです。ハコは簡単につくれるかもしれませんが、結局はへんてこなウェブサイトになることが多いので、やっぱりそこは依頼した方が良いかと思います。自分でやると時間かかりますしね。

表側コスト
テンプレートが既に存在するので、コストは最小限。
裏側コスト
毎月の支払いが発生する。小規模サイトだとわずかな金額。
編集
いつでも編集可能
ブログ
運営会社によっては投稿可能
モバイル最適化
ほとんどのテンプレートがモバイル最適化されている
デザイン
テンプレートのクオリティの高さが売りなので、よくできている場合が多い。テンプレテートなので、他の会社とデザインが被る場合がある。


以上、自分は以上の3つのパターンで制作することが多いです。
案件によって全然違う作り方をすることもあるでしょうが、多くのウェブデザイナーは上の3つの制作方法に対応できるのではないでしょうか。
CI、サイトデザイン、ページ数、保守契約、責任範囲、SEO、などなど、ものすごく色んな要素が関わってくるので、何が一番お買い得かなんて言えません。必要なものは何なのかよく考えて、毎回毎回カスタマイズされたものをご提案しています。

と、いうことで、見積書1つだって時間かかるんですよ〜というお話でした。

最近人気の記事らしい

そういえば、ウェブサイト制作の見積もりの記事が人気らしいです。
下のような記事も参考になるかもしれませんが、いきなりだとちょっと難しいかもしれませんね。

「Web制作のリアルな工数と見積もりの話」の話をしようじゃないか! — 乱れなよ、そして召されなよ
WordPressのリアルな工数と見積もりの話をしようじゃないか! | WP-D
ウェブ制作の見積もりを金額付きで晒してやろうじゃないか! | WP-D

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Shunsuke Sawada

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